2010年12月7日
「山田脩二 日本旅 1961-2010」 写真・山田脩二 平凡社
©Shuji Yamada
あとがきより
”古希”に辿り着いてしまった。
素直にありがたく感謝しなければ……との思いと同時に、今時、人生七〇古来稀なりと祝い事を言っている世の中でもあるまい。つくづくと光陰矢の如しで、あっさり元気に七〇を超えてしまった。一つの区切りとして自ら古希の祝いをすることに決め、写真集『山田脩二 日本旅1961-2010』の出版に辿り着いた。
(中略)
光陰矢の如しとは言え、今しばらく日々の身の丈に合った暮らしの風景の中で、暮れなずんでゆく光と影に感動し、迷走しながら少々、格好よく風来坊の酩酊の旅を続けていたい、今日この頃です。
1979年に出版された「山田脩二 日本村1969-1979」(三省堂)は絶版で、入手困難な写真集の一つとなっています。山田さんに出会ってからこの写真集を観てみたいと思い、ずっと古本を探しましたが、8万円ぐらいしていて、とても買えず、都内の図書館で借りたのでした。全てモノクロで、黒の強い写真。日本の津々浦々が写っています。
「日本村」から約30年、この本が出版されました。50年間のこの国の風景、とても面白いです。写真を観て、都市は昔も今も、相変わらずごちゃごちゃしているな、と思い知らされます。多くは力強い風景写真ですが、木陰で思い思いにくつろいでいる少年少女の写真に和まされたり、笑える看板や建物写真を見つけ、クスッとしてしまいます。編集を担当された大崎紀夫さんと写真家の篠山紀信さんの対談も興味深いです。
篠山紀信さん曰く、「この50年間の写真はすごいですよ。何かハッとさせられましたよ。『あっ、写真ってこういうものだったんだ』って。画面としても、すごくちゃんとしていて、うまいんだよ。ピチッとしてるの。普段は酔っ払った照れ症のふりして、実はやることは、すごくしっかりしているんだよ」(巻末の対談より)
ご興味のある方はこちらもチェックしてみてください。
・今日の平凡社
のサイトに中身の写真が数枚載っています。
・紀伊國屋書店の書評空間のサイトでの、
文筆家・大竹昭子さんの書評。